2020年度を振り返る

履修した授業の感想

勝手ながら上から目線な感想を書く。履修の感想は授業スタイルや課題、成績評価方法についてコメントする。

民事訴訟

履修の感想

Meetによるリアルタイム授業。当初は音声ラグや雑音が酷く聞き取りにくかったり、教員の不慣れさもあってなかなか苦しい授業だった(これはある程度仕方ない)。毎回1000字~2000字程度の授業レポートに加え、3000字程度の期末レポートもあったことからなかなかハードな講義だった。メールで質問すると、爆速で丁寧なお返事をいただけたので、不明点はそのようにして解消した。

使用教材の適切さ

使用教材は上原=池田=山本『民事訴訟法』(有斐閣Sシリーズ)

 訴訟物理論をめぐる学説(新訴訟物理論)と実務(旧訴訟物理論)についての記述や、要件事実についての説明、弁論主義・処分権主義の基礎的な概念の解説が薄く、初学者の1冊目として適切なのかは疑問。

ADRや近年の司法制度改革、法服が黒色とされている理由などのコラムなどは充実している。証明責任の分配の解説が一番わかり易い。

複雑訴訟や手形訴訟、督促手続などの解説は条文に沿った解説に終始しており、条文傍用書といった性格が強い。

これよりは、藤田広美『講義民事訴訟』を挟んだほうが(むしろこの一冊で良いはず)、読みやすい。Sシリーズはどちらかというと、ざっと復習するときに用いる方が捗る。携行性高いし。

 

一応、藤田『講義』も貼っておきます。

 

憲法ゼミナール

履修の感想

判例百選をベースに報告と討議を重ねるのがこのゼミの主題だった。

前期は1人1事件ずつ報告するスタイル、後期は関連する時事事件や近時の憲法判例についてグループで扱った。指導教員のご玉稿の百選記事をグループで担当して報告した。指導教員が執筆した箇所をいち学生が報告担当となるのはなかなか忍びない思いだったが、グループで取り組んだだけのことはあり、充実したものになった。因みに担当した判例は、猿払判決と「忘れられる権利」決定である。また、香川県ゲーム条例事件についても報告した。

使用教材の適切さ

人権法が主ということもあって、同判例百選Ⅱについては教材指定されていなかった(まあⅡも受験生として持っているのですがね)。

憲法の講義をとると、『新・判例ハンドブック憲法』を指定する教員がいるが、あれは良くない。簡潔さとは名ばかりで、説明が薄く事案と結論を暗記する学生が増える。思考過程とか論理を重視せよ、と言う割には判例用教材を正しく指定できていない教員なんだなという目で、僕は見ます(有斐閣さん、ごめんなさい)。

『新・判例ハンドブック憲法』は憲法の入門用の判例教材にとどめるべきで、2年次以降開講科目の憲法の教材としては不適格ですということが言いたい。

親族法・相続法

履修の感想

音声ファイルを聞きながらレジュメを追うというスタイルの講義。レポートを3本こなすと単位がくるということで、僕は指定教科書を買わずにレポートを出すのみの単位獲得を目指した。

指定教科書はなんだったか忘れたが、とりあえず窪田さんの『家族法』を図書館で借りて読んでいる。厚い割には説明的な文体の解説で読みやすい。これはかなり好みが分かれるはず。レポートのテーマは近年の家族法分野改正に関わる事柄で、懲戒権規定の見直しや自筆証書遺言の押印要件見直しの是非等があった。改正議論を部会資料や国会議事録等を参照しながら書いたこともあって、リーガル・リサーチスキル全体が伸びた(気がする)。

使用教材の適切さ

これは指定教科書ではありません。窪田さんの『家族法』です。第四版は改正対応しているので、この箇所は必読。あとは、潮見先生の改正の概要(青い本)が良い。潮見さんは何を読んでも解説が合う。

やっぱり法律専門書は、誰の解説が肌に合うかで決まる。(形式的な意味における)共著書は装丁や構成に差が出るが、やっぱり単著は執筆者の色が出るので個性的でおもしろい。

国際私法

履修の感想

動画を見て翌週までに小テストをこなすスタイルで期末試験アリという授業スタイルだった。マイクの音が小さく、音量MAXにしてやっと聞こえるレベルな序盤だったが、指摘をしたら試行錯誤してくださった。

オンライン授業で教員側も不慣れだっただろうに最大限善処してくださったのは本当に有り難い。ただの学部生の意見や提案にも耳を貸してくださった。この場を借りてお礼したい。

司法試験選択科目候補筆頭ということもあり、まあまあ力を注いだ。国際私法の基本概念(法性決定→連結点確定→準拠法確定)や、国際裁判管轄・準拠法指定・執行の各フェーズの意味を理解できたとは思う。

連結点政策の実質的な意義にまで検討した講義ということもあり、なかなかレベルが高かった。やりがいのあった講義の一つ。

使用教材の適切さ

国際私法はそもそも基本書の数が少ない、司法試験選択科目受験者数の母数も小さいことから、不安が尽きない科目ではないか。

コラムの充実さや叙述の的確さ、学説へのそれぞれの検討も丁寧にされている。国際私法領域で学説が煮詰まっていない分野もあり、この点はこの本の問題と言うより、国際私法学説全体の問題ということで了解しよう。そのまま司法試験戦線に繰り出せる基本書だと思うので、良い教材を指定してくださったと考えている。

判例百選も指定されていた。「解説」の記述を一部持ち出したり、先生のご玉稿をもとに授業を進めていたりした。道垣内論文なども紹介されていたので興味深かった。

会社法特論

履修の感想

まさかの共有ドキュメントで質疑応答するスタイルの授業(新鮮)。予習課題、授業での応答、レポート2回、短答試験3回?のなかなかハードな授業だったが、取ってよかった。2020年度授業オブザイヤーはと聞かれたら確実に会社法特論という。

ロー所属教員の良いところは判例と理論の説明を丁寧にしてくれること、当事者にひきつけた検討に発展させてくれるところだ。学説を紹介する際、誰の見解なのか教えてくれれば嬉しかった(これは具申するべきだった)。

使用教材の適切さ

やっぱり百選に勝る判例教材はなし。

経済法

履修の感想

前期のみ履修。レジ袋有料化が実施されたが、これを無料配布するという地元スーパー同士の協議が談合にあたるかどうかを検討させる、期末課題だった。公取委の相談事例では談合に該当しないという結論だったが、事情評価と射程を意識して談合に該当する結論を採った。説得的と評価されたのか、特異性あるレポートと評価されたのか不分明だが、Sだったので良しとしよう。

使用教材の適切さ

同じアルマから「ベーシック経済法」があるが、これよりも本書のほうが専門性が高いそう。というわりには全体として読みやすかった。アルマは奇をてらった構成がとられることがあるが、本書はオーソドックスな構成を採っていた。強いていうならば、独占・寡占について冒頭で軽く触れてから本題に入ってほしかった。

債権各論

履修の感想

一番単位のための単位だった。論評の価値なし。質問対応も一切受けてくれなかった。小テストも設問不適当なものばかり、解答が一義的に定まらないものばかり。学生とのやりとりもなく、一番履修を後悔した科目。

民事救済法

履修の感想

民事訴訟法が通年科目に対して、本講義は半期の授業ということで、民訴の内容を一気読みするスタイルだった。担当教員は民訴法と同じということもあり、やりやすかった。

刑事訴訟法

履修の感想

PDFファイルを読むだけ、期末に厳格な証明に関するレポートを一本書いて終了。